コンテンツの海を漂うのブログ

コンテンツの感想等を書きなぐるブログです。嗜好が偏り気味です(BL多め)ので注意ください。

ドラクエと日本のガラパゴス的萌え文化について

日本においてはメジャーコンテンツであるドラクエは何故海外では売れないのか(その他のメジャーコンテンツであるFFやゼルダに比較して)?という問題提起をたまに見かけます。

 

国内で300万枚越えという大ヒットと言っていいでしょうドラクエ11ですが、過去を見ると、ドラクエというシリーズは同様に日本における人気RPGであるFFやゼルダ等と比較すると海外では大きくは売れていないようです。

というか、そもそも海外はそこまでターゲットにしていないのではないかとも思ってます。

 

それは何故かって考えると色々な要素があるんでしょうが、個人的に一つの大きな要素だと思うのは、ドラクエ世界の根底に流れる日本に特有の男性向けサービスとしてのメンタリティーです。

 

これが直ちに悪いとも簡単に断じることもできないのですが、やっぱり日本の特殊な一面だなと思う、漫画・アニメ・ゲームにおいて優勢を誇る男性向けサービスとしての「萌え文化的な文脈」が非常にガラパゴス的な文化なのです。だから、その文脈が根底に流れるドラクエはそんなに海外に受けないのではないでしょうか。

*もちろんその他の要素も色々とあって、その中の一要素かとは思いますし、個人的な感想ではありますが。海外在住の友人は確かにそんなようなことを述べていましたが、まあサンプルが少ないので何とも言えません。

 

「萌え文化的な文脈」というのはどのようなものかとという事ですが。

まず、女性キャラの露出&お色気演出。これは特にゲームによく見られるわけですが、戦うのに全く無防備かつ無意味な露出をしているキャラが非常に多いです。かなり際どい事も多くて、これはあまり洋ゲーには見られないですね。

ドラクエでいうと、露出気味のモブのバニーガールや踊り子が所々にいたり、女騎士が何故か地域の寒暖関係なくやたら露出していたり、女性キャラのお色気演出がちらほらと見られますし(マルティナのお色気スキルとか、女性の衣装全般ですね)、ストーリー上も特に必要性のないお色気サービスシーンが出てきたり(まあ、呪われし●●のところとかですね)、後「ぱふぱふ」とか。これらは全く現実的ではないのですが、男性からすると単に露出していたら嬉しいってことですね。もっと露出等の激しいゲームなんて山ほどあるわけですが、全年齢向けの割には露出はあるなという印象です。

 

そしてキャラクター造形。まずゲームのキャラについて、男性は割と様々なパターンのキャラクター造形がなされるわけで、ドラクエ11も年齢層も16歳の主人公から19歳(?)、アラサーくらい、36歳、おじいさん、と幅広く、ドラクエ11は割とイケメン多めですが、一般的に三枚目的なキャラやぽっちゃりキャラも割と多い。それに対して女性は大抵10代〜20代が中心でほぼ可愛いか美人か、で30代以上の女性とか美人ではない女性とかぽっちゃりとかって女性はほとんどでてこない。男性の中では女性っていうのは若くて美人な人のことしか言わないようです。これも、男性からすると単に若くて美人が多ければ嬉しいからな訳でしょうが。

そして、子供と言っていい10歳前後の女の子がよく出てくることも多いです。日本の男性はロリコンが多いので、彼らの需要に対応しているわけですね。

海外なんかだと、男性プレーヤーにはマルティナはまあまあ人気がありそうで逆にベロニカセーニャエマなんかはあまり人気はなさそうです。

また、洋ゲーのリアル感溢れるキャラクターと比較して漫画的な、そして全体的に幼い感じのするキャラクター描写には拒絶反応まで示さなくとも違和感を感じる海外の人は多いでしょう。

日本のゲームだったら、主人公の女性の造形について、「horizon zero」の主人公のような感じには絶対しないよなあと。

*「Horizon Zero」面白かったです。

 

Horizon Zero Dawn 通常版 - PS4

Horizon Zero Dawn 通常版 - PS4

 

 

  そもそも特にゲームなんてほとんど男性が男性に向けて作っているわけなので、日本ではまあそうなるのかなという感じもするんですが。

 

もちろん、こんな性的な部分だけがゲームの魅力なのではなくて、ドラクエ11もゲームとしてそのシステムとか世界観とか色々と総合的なパッケージとして人気なわけですが。

 

コンテンツの製作者は今では女性も増えてきたようですが、ほとんどは男性だったわけで、ゲームに限らずアニメ・漫画を見てもこんな萌え文化的な文脈は日本において強固に根付いているので、この男性向け性的サービスももはや「当たり前」となっているのが日本のコンテンツです。

 

この男性向けの主流の中で細々と流れてきた女性向けの性的サービスがいわゆるBLですよね。

性欲というものについて、女性の(主体的な)性欲というのはほとんど社会において無視されてきたのですが、男性と変わらず女性にも主体的な性欲があるんだという事を明らかにしたのがBLの人気なのではないでしょうか。

*少女漫画は精神的な満足を求めるもので、あまり性的なものは含まないので比べるのは少し違うかなと思います。

 

今回の最新作、ドラクエ11が過去作と少し違うなと思うのは、もちろん基本は男性向けなわけですが、女性プレイヤーの視線も少し意識したなというところですね。時流でしょうか。BL的な演出をしたとかではなく、まあイケメンを増やした程度、といえばそうなのかもしれないですが。

男性に珍しくまあまあの露出をしたり、2回も敵に捕まってみたり、記憶喪失で性格が変わったりするカミュというキャラクターがその象徴的なものですが、その他、サラサラヘアーの中性的な美形である主人公の造形とか、ヒール役として割とぞんざいな扱いであるものの金髪ロングの美形を敵として登場させてみたり。

 

特にゲームにおいて、この程度であっても女性に嬉しい設定がされることは珍しく、過去にはあまりなかったので、基本男性向けの性的サービス満載のドラクエ11でさえも、女性人気がかなり出ているようです。

今まで何も与えられていなかったので、少しだけ与えられるととっても嬉しいという、砂漠でコップ1杯の水をもらったような感じなんだと思います。

 

そのコップ1杯の水に対して散々と文句をつける一部の男性ユーザーは正直これも一種のバックラッシュというか、これまでに作られてきた土壌が強固すぎて中々異質のものとも言える要素を受け止めきれないという感じなのでしょうか。

 

自分は男性向けの演出等は正直嬉しくない上にむしろ気持ち悪いとも思うわけですが、それはそれ、根絶するべきとかまでは思ってないのです。女性向けの演出は嬉しかったりするので、それはお互い様というか、現実世界で誰かに迷惑をかけたり危害を加えたりしなければいいとは思うわけです。

お互いに「理解できない」「気持ち悪い」と思うのはある程度仕方がないと思うわけで、でも、だからといって紛争が勃発する必要は必ずしもなくて、お互いに同調はしないけど否定はしないという態度であれば平和で誰も傷付かず無駄なエネルギーも使わずいいですよねと(この辺が微妙な問題も含んでいますが・・・)。

*性的なことでいえば、性犯罪は圧倒的に男性が女性に対して(男性、特に男の子に対しても)起こすことが多いので、メディアの性的表現についても完全にパレルに考えることはできないとは思うのですが。

 

近年のアニメ業界などに見られるように、一種の住み分け、つまり完全に女性向けに振り切ったものと男性向けのものとどちらかに寄ったりしつつも双方をターゲットにしたもの、という感じで色々と作られたら、バリエーションも増えて業界全体としても活性化されるのではと思います。

 

その為にはやはり作り手の多様性が増えないと、やはり同じようなゲームばかりが作られてしまうのではないでしょうかね。性別年齢人種等様々な人たちが多様で面白いゲームを作るようになればいいですね。